眩しい‥


目の中に残像が残るほど太陽が大地を白く照りつけていた。





昼食は気分転換に会社の外で食べることにした。


少しミーハーな怜香は、あらかじめ目星をつけていたテレビの特集で出ていた会社の近くのカフェレストランでランチすることに決めていた。



同僚でよき友人の優美は怜香のその提案を快く受け入れた。





雨宮怜香は外資系の会社に務めて3年目、スラッとした体型に綺麗な顔立ちだったが、強気な性格もあって同僚の男性からは煙たがられることもある。
しかし、努力家で要領よく仕事をこなすので、上司の厚い信頼も得ていた。



一方、友人の有坂優美は同じ会社に同期で入社したが部署が違う。
彼女は会社の受付嬢で可愛い容姿に加えグラマラスな胸で男性の心を鷲掴みにしている。
それに加え柔らかい物腰で男性からの誘いが耐えない。


優美を見て、自分が男だったらこんな女性とつき合いたいと思うだろうと、心から頷いていた。優美は優しい性格に加え、怜香の頭の回転の早さにもついてきてくれる気のきく女性だった。

淡いピンク色の胸元が少し開いたシフォン素材のワンピースがよく似合っていた。

丸襟にヒラヒラとした襟が、温かい風になびくのをパールとクリスタルのネックレスが優しく押さえていた。





怜香は大抵パンツルックで、その日も白い七分丈のパンツを履いていた。
白いラインが通るネイビーの薄手のジャケットとボーダーのインナーを合わせマリン系の碇のチャームがついたベルトや赤いペンダントで全体をまとめていた。








端から見てどうしてこの2人が仲良くなるのかと思われるだろうが、二人は似てないようで似ていた。


二人とも快楽主義という点が似ており

今を楽しく生きる

が二人の生きるテーマだった。

そして無駄なことはしたくない合理的なとこも似ていた。



マイペースであることでお互いのマイペースさを理解し合いお互いを認め合っていた。






だが、怜香は少し将来に不安を抱え、漠然とこのままでいいのだろうかと心配するときもあった。







優美を見ているとそんな心配は微塵もしていないが、上手くやっているしこれからも上手くやっていくだろうと思える。


そう思うと、自分は余計な心配をしているのだろうと思ったが、それでもやっぱり不安は拭いきれなかった。



怜香は感じていたのだ。今の立ち位置では未来の自分は満足しないだろうと。




勝ち気な性格ではあるが、それは今の自分に満足できないことから来る貪欲さゆえのアクションであったり、もちろんこのままで終わりたくない向上心であったりするのかもしれない。



ただ、頑張っても頑張ってもゴールが見えない空虚感を覚えていた。


理想が高すぎるのか?自分の力が足りないのか?

それさえわからず、ただ空虚感を抱えていた。



時折、その空虚感が心に乾きを与え、寂しさがその中に染み込んでくるようだった。











「ねぇ、怜香、今度ファミリーセールあるけど一緒に行かない?」



甘ったるい声で、優美が誘ってきた。




お洒落なブティックが立ち並ぶ銀座を横目に、二人のカフェレストランへ行く足取りは軽やかだ。








「ええ、いいわね。もう、この時期にセールしてるの?最近は、洋服の入れ替わりが早いわね。ちなみに、どこのお店かしら?」


6月の梅雨の時だったが、この日は浮き足立つような青空の綺麗な日だった。




「スマイデルとアーシェリーの合同ファミリーセール。
スマイデルは可愛い系だけどアーシェリーは、綺麗めCOOLな洋服も多いし怜香の気に入るものもあると思うんだけど‥」





怜香の表情を見て行くだろうと察っした優美は、すかさず携帯を取り出してスケジュールを確認しようとしていた。






案の定、

「うん、もちろん行くわ!アーシェリーは最近、気に入っているお店だしスマイデルもわりと好きよ。」





怜香は思っていることが顔に出やすい。





「じゃ、決まりね!日程を決めてもいいかしら。日程的に空いてるのは‥」








ランチを一緒にするチャンスが少ない二人は、気温が上昇する街の中で気分も上昇させていた。


ご飯は1人で食べるより誰かと食べる方が断然いい。


だけど、男性よりも気兼ねなく過ごせる女友達だと一段と開放感があるのだ。








店内は混んでいた。




早い時間帯であったこともあり、少しの待ち時間で店内へ入ることが出来た。






そのレストランは、料理はフレンチ系のお店なのだが、安いとは言えないけれど、値段はお手頃で店内でランチタイムに三度演奏がある。



メニューを開くと演奏が聞こえてきた。



夏の暑い日に潤いの雫を落とすようなショパンの音色だった。



ヴァイオリンやビオラの弦楽器や、サックスでジャズミュージックを演奏する日もあるが、今日はピアノクラシックのようだ。




かつて怜香も大学に入るまでピアノをしていた。ピアニストを夢見た日もあった。







流れてくる音色はショパンのノクターンだ。


この店の選曲は、ほとんど無難なチョイスみたいだ。



しかし、繊細で少し寂しい音色が怜香の心の透き間を震わせるようだった。


そして、あの日が頭を掠めていた。