「最悪、成果、ゼロじゃん。」
雄介はベッドの上に一眼レフカメラを力強く放り投げると、
胸ポケットからタバコを取り出し、最後の一本に火をつけた。
「あ〜あ、またこれで今月も赤字確定だな」
ため息混じりにつぶやいた言葉が、たばこの煙と重なって思わずムセる。

鹿島雄介。32歳。職業、フリーカメラマン。
しかし、“カメラマン”というのは名ばかり。
「ファインダー越しに、多くの人の笑顔が見たい」。
そんな思いで高校卒業と同時にブライダルカメラマンの道を歩んだものの、
会社の人間関係に疲れて挫折。
しかしカメラの仕事が捨てきれず、今では、タレントたちのスキャンダルやお宝写真を
撮っては、ゴシップ誌に売りつけて生計を立てる日々。
今ではファインダー越しに見ているのは、幸せな笑顔ではなく、困惑の表情ばかり。

そんな生活を始めて今年で5年目。
この日は大物政治家の宿舎に一日張り込みスキャンダルを狙うも、大ハズレ。

雄介はタバコを吸い終えると、むしゃくしゃした気持ちで部屋のパソコンの電源を入れ
た。
日課となっている、ある行為を始めるためだ・・・。